土地売却を円滑に進めるためのポイント
土地売却で必ず押さえるべき3つのこと
土地の売却では、「価格」「費用」「媒介契約」の三つに対する知識が必要です。全く知識がない状態でも依頼先の不動産会社からサポートを受けられるものの、売却するために何をどう考え、具体的に何をするのかを理解することで、意図せぬ不利益やリスクを回避でき、取引の成功がより近づきます。
1.価格
ひと口に「価格」と言っても、実は三つの種類があります。「査定価格」「売出価格」「成約価格」です。これらは同じ金額であることもありますが、それはまれで、大抵は異なります。また、土地の価格はさまざまな要因で変化し、「相場」を形成します。相場は個々の取引における「価格」を決めるためにとても重要な役割を担います。
2.費用
土地の売却には、さまざまな費用がかかります。主なものを挙げると、仲介手数料や印紙税、測量費用などがあります。
3.媒介契約
不動産会社に仲介を依頼するときに結ぶ「媒介契約」には三つの種類があり、それぞれ内容が異なります。不動産会社に依頼する業務範囲や内容により、どの契約を選ぶべきかが変わってきます。
では、それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
「価格」と「費用」について
【価格】
まず、所有する土地はいくらで売れるのかが、売主にとっての最大の関心事でしょう。実際に売る前に、相場などの情報から不動産会社が見積もってくれる価格が「査定価格」です。これはあくまでも初めの参考値となります。
次に査定価格を踏まえて、実際に販売するときに提示する価格を決めます。これが「売出価格」です。さらに買い手がついて、買主と最終的に合意した実取引価格が「成約価格」です。このように価格と言っても、売却の流れの中で意味合いが違うものが存在し、金額も一定ではないことを理解しましょう。
これら三つの価格が同じか、近いほど、売却は成功したと言えるでしょう。そうなるためには、「適正価格」をもって価格設定をしていくことが必要になります。しかし、不動産の適正価格を正確に把握するのは、プロでも難しいものです。
とはいえ、できるだけ適正価格を探る努力は必要ですし、その方法はあります。まず、大まかな相場や取引実績に関する情報は、インターネット上から入手できます。国土交通省が運営している「土地総合情報システム」というサイトでは、直近5年間の取引実績を閲覧することができます。不動産取引の当事者にアンケートを行い、その結果を元に、取引総額・面積・土地の形状・前面道路・都市計画制限・取引時期等が蓄積されています。また、アットホームなどの不動産情報サイトで物件検索してみるというのも、簡単に相場を知る方法の一つです。所有物件のエリア検索で、同様の条件にて物件一覧を表示させれば、現在の販売価格が大体わかります。
【費用】
土地の売却には、主に以下のような費用がかかります。売却益との差額分として認識しておきましょう。
〈仲介手数料〉
媒介を依頼した不動産会社に支払う仲介手数料は、「取引額×3%+6万円+消費税」という計算式で導き出せます。宅地建物取引業法で定められている上限額で、これを超える金額を支払うことはありません。
〈印紙税(売買契約書に貼付する印紙の代金)〉
印紙税の金額は、売買契約書に記載されている取引額に応じて変動します。金額の具体例は以下の通りです(一部抜粋)。
・取引額500万円超1,000万円以下…印紙税額1万円
・1,000万円超5,000万円以下…印紙税額2万円
・5,000万円超1億円以下…印紙税額6万円
〈登記に関する費用(抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬など)〉
売却する土地にローン残債がある場合には、抵当権抹消登記が必要です。抵当権抹消登記は不動産一筆につき1,000円の費用がかかります。また、司法書士などに依頼した場合の報酬は、依頼先の料金体系にもよりますが、3万円から5万円程度の設定が多いようです。もちろん事案ごとで異なりますから、実際には依頼前に確認することが必要です。
〈測量費用〉
土地の売却では後々のトラブルを防ぐために、土地の境界を確定する測量を行うことがあります。これを「境界確定測量」と呼び、買主からの要望で行うことが多いです。測量費用の相場は、30万円から50万円くらいです。ただし、公有地(国や市区町村が所有する土地)に面している土地については、官民立ち合いのもとでの測量が必要で、民間所有地の測量よりも高額な費用がかかります。官民立ち合いの測量費用相場は、およそ60万円から80万円です。
〈(更地にする場合の)解体費用、廃棄物処分費用など〉
土地を更地にして売却するならば、建物の解体費用や不用品の処分費用がかかります。金額は物件ごとに違いますが、事前に見積もりを取っておきたいところです。解体費用は、木造の30坪くらいの古家で100万円程度は見込む必要があります。
「媒介契約」について
仲介を依頼する不動産会社との間で結ぶ「媒介契約」について、概要を確認しておきましょう。媒介契約には三つの種類があり、それぞれ内容が異なります。
〈一般媒介契約〉…売主は複数の不動産会社に仲介を依頼でき、売主自身が買主を見つける「自己発見取引」も可能。
〈専任媒介契約〉…不動産会社は、売主に対し指定流通機構(レインズ※)への物件情報の登録義務(7日以内)や2週間に一度以上の活動報告義務がある。売主は複数の不動産会社に依頼できないが、自己発見取引は可能。
〈専属専任媒介契約〉…専任媒介契約と内容はほぼ同じだが、レインズへの物件登録義務が5日以内、活動報告義務が1週間に一度以上など、より縛りが厳しい。その分売主は自己発見取引ができない。
「自己発見取引」で売買契約を成立させると、不動産会社に仲介手数料を支払う必要がありません。従って、自由度や費用面を考えるなら「一般媒介契約」か「専任媒介契約」で契約すべきでしょう。ただし、「専属専任媒介契約」の場合は、不動産会社がより熱心に販売活動を行ってくれる可能性が高くなると言えます。とはいえ、どれが早期売却につながるかは一概には言えません。まずはそれぞれの契約内容の違いを認識して、売却の際に自分の志向に合っている形態を選ぶことになるでしょう。
※レインズ
Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、全国の不動産情報を管理しているシステムのことです。レインズは、国土交通大臣から指定された四つの指定流通機構によって運営され、各事業圏内の不動産会社が加入しています。このレインズに仲介を依頼した物件が登録されると、全国の不動産会社が情報を閲覧できるようになります。
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