物件の最終確認と残代金の精算・引渡し
物件の最終確認の注意点
売買契約を結んだら、最終的には物件の引渡しによって取引完了となります。しかし、引渡しの前にもう一度、物件を見る機会があります。それが「物件の最終確認」です。これは買主と売主両者が立ち会って行います。引渡し後に「ここが違う」「こんな傷はなかった」などのトラブルが発生するのを防ぐためのものです。現地見学時点では、工事が終わっていないことが多いので、その時とはイメージが違っていることもあります。安心して買うための最後の確認機会なので、漏れのないように入念にチェックしましょう。
【物件状況報告書(告知書)】
「物件状況報告書」とは、売主側が準備・提示するもので、取引条件の現況について書かれています。具体的に雨漏り、シロアリ被害、給排水管の状態、増改築の履歴、土地境界、地盤・土壌について、浸水被害、近隣の建築計画、騒音・振動など多岐項目にわたります。
過去の履歴を含め現況を正確に知っておくために、物件状況報告書(告知書)の確認は欠かせません。
【付帯設備表】
「付帯整備表」とは、対象物件の設備の有無、または故障・不具合の有無が記載されている書類です。この付帯整備表は売買契約書の付属書類となっています。売買契約書と照らし合わせて、内容が合致しているかを再度確認します。
特に中古物件の場合は、残置物と撤去物についての記載は、認識の相違があると引渡し時にトラブルになりかねないので、必ず明確にしておきます。
主要設備では給湯設備を含む水回り、空調。その他設備では、照明、収納、建具などです。付帯設備表における分類や記載方法は不動産会社ごとに異なります。
また、住戸内だけでなくベランダやインターホンを含む玄関外、一戸建ての場合は門扉、塀、アプローチ、庭、車庫などといった外構も要確認項目です。
【動作確認】
「動作確認」とは、その名の通り設備・機器などが正常に使える状態かの確認です。特に各部屋の扉や建具、窓、鍵のかかり具合などもすべてチェックしておきましょう。機器に関しては、台所、トイレ、浴室といった、水回りの水栓状態、付属している調理器具やオートバス、オートロック(モニタ・通話)など数多くあります。もし、ガスが開栓していない状態で動作確認ができない機器があった場合は、「入居後ガスが通り次第、〇日以内に確認」といった形で、特記事項として記してもらいましょう。
加えて、壁、床の傷の有無やクロスの汚れ・剥がれ、壁・ガラスのひびの有無、各所ネジのゆるみなどもチェックしておく必要があります。生活する上で欠かせない電気・ガス・水道の元栓位置、および使い方、トラブル時の連絡先なども確認しておきましょう。
【内覧会】
新築物件では、施工完了後に買主が住戸の仕上がりを確認する機会として、「内覧会」が行われます。内容は前記と同じです。
残代金の精算と諸費用の支払いなど
物件の最終確認が終わったら、残代金の支払いと諸費用の支払いを行います。
まず、購入する不動産について、手付金など事前に納めている金額を差し引いた「残代金」を支払います。一般的に住宅ローンを利用する人が多いですから、ローンを借り入れる金融機関で融資実行と同時に残代金の支払い手続きを行うのが、通例となっています。このとき、住宅購入にかかる「諸費用」の支払いも合わせて行います。
「諸費用」とは、不動産会社に支払う仲介手数料、登記費用(司法書士への報酬、登録免許税)、固定資産税・都市計画税の買主負担分などです。お金の準備のほかに、実印や住民票(同居する人全員分)、写真付きの身分証明書も必要です。早めに用意しておきましょう。
また、残代金の精算が済むと、合わせて不動産登記手続きを行います。通例は、買主の権利を守るために一刻も早く登記申請をするので、そのために司法書士は引渡しの場に同席して、一連の手続きが済むとすぐに法務局での所有権移転登記、抵当権設定登記を行います。
物件の引渡し
通常、残代金の支払いと諸費用の支払いとを物件の引渡しは、一連の流れとして同日に行います。これら手続きには、買主、売主、仲介する不動産会社担当者、金融機関担当者、司法書士といった関係者が一堂に会する必要があるからです。前項の記述にもありますが、一般的には金融機関の個室が提供されて、そこで行います。
さて、残代金の支払いが完了して融資が実行されたら、いよいよ物件の引渡しになります。物件種目により異なりますが、住戸の鍵の他に建築確認通知書・検査済証、設備類の取扱説明書・保証書、管理規約などを受け取ります。
登記手続きを司法書士に任せる場合は、売主・買主はここで引渡し完了となります。
引渡し日の設定や代金精算の段取りは不動産会社が主導して行ってくれますが、買主が準備しなければならない書類などがありますから、任せ切りにせずに流れも含めて把握しておくようにしましょう。
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